音楽は稼いだ!!

音楽エッセイ

2013-01-01から1年間の記事一覧

さよならピアノソナタ4曲目解説

旧ブログ消滅にともない、過去作の解説記事を書き直し中。 ネタバレの記事なので未読の人は下のアフィリエイトをクリックして買って読んでから続きをどうぞ。 あとがきの日付を見ていただければわかると思うが、電撃文庫の原稿はだいたい刊行の四ヶ月前にあ…

ワンマンバンドという愚かな言葉

僕は「ワンマンバンド」という言葉が大嫌いである。 ところでこの言葉には二つの意味がある。本来の意味(1)と、和製英語の意味(2)だ。 1) ストリートなどで複数楽器を単独演奏するパフォーマー。 2) ある一人のメンバーだけの力に依存しているバンド。 (1)で…

さよならピアノソナタ3曲目解説

旧ブログ消滅にともない、過去作の解説記事を書き直し中。 ネタバレの記事なので未読の人は下のアフィリエイトをクリックして買って読んでから続きをどうぞ。 さて、DBMS公式という数学定理があるのをご存じだろうか。 T = P ^ (1 + 0.038N) 数式中のTは執筆…

神曲プロデューサー

今さら僕が言うまでもないことだが、宇多田ヒカルは可愛い。 しかし、宇多田ヒカルが可愛いことはみんな知っていても、宇多田ヒカルがものすごく可愛いことや、宇多田ヒカルがめちゃくちゃ可愛いことや、宇多田ヒカルがあり得ないくらい可愛いことまでは知ら…

神曲プロデューサー(まじめ)

昨日のアレではアフィれるものもアフィれない気がしたのでまじめな記事も書くことにする。いや、アレだって大まじめに書いているのだが、それはそれ。 集英社から手紙をもらったのは一昨年の二月だった。手紙、である。郵便で仕事を依頼されるのははじめての…

さよならピアノソナタ2曲目解説

旧ブログ消滅にともない、過去作の解説記事を書き直し中。 ネタバレの記事なので未読の人は下のアフィリエイトをクリックして買って読んでから続きを読みましょう。 この巻には歴史的価値がある。なぜかというと、僕が池袋で仕事場を借りるようになってから…

さよならピアノソナタ曲目解説

旧ブログが消えたので、さよならピアノソナタや楽聖少女の解説記事がデッドリンクになってしまった。そこでこちらのブログでこつこつと書き直すことにする。当然ながら小説もアフィるので一石二鳥だ。ネタバレ全開の記事となるので、未読の人は下記のアフィ…

音楽をあきらめた原因の二枚

いちばん好きな小説家はだれかと訊かれたら僕は答えに迷わない。「杉井光」である。 あきれてブラウザを閉じる前にもう少し話を聞いていただきたい。そもそも、ほんとうに読みたい物語を他のだれも書いてくれないから、僕は自分で書いているのだ。いちばん好…

白薔薇になったチェリスト

『大師は弘法に奪われ、太閤は秀吉に奪われ、楽聖はベートーヴェンに奪われる』ということわざをご存じだろうか。 三つ目は僕の捏造だが、とにかくそういうことわざがある。本来独占するようなものではない栄誉を、一人があまりに有名になってしまったために…

火星まであと30秒

メタラーとSF好きは似ている。 こんなことを書くと(両方から)怒られそうだが、似ているのだからしょうがない。共通点は以下の通りだ。 1) 自分がメタラー(SF好き)だと公言したがる。 2) 作品をまず「メタル(SF)かどうか」で判断する。 3) 他人に自分の…

こもりクインテット!

今年最も熱い漫画新連載、『こもりクインテット!』が月刊コミック電撃大王で始まった。普通、アフィリエイトといえど自作をほめたたえるのはなかなか照れくさくてできないのだが、『こもりクインテット!』は七割方Tivさんの作品である。僕はせりふとト書き…

もう半分のフジファブリック

作家同士で集まってお遊びでバンドをやろうとなったとき、最初の課題曲に選ばれたのは無謀にもフジファブリックの『桜の季節』だった。ベーシストの鈴木大輔のチョイスである。キーボードが活躍する曲がよかろうという配慮だったのだろう。 そんなわけで僕と…

彼女のバリエーション

僕は変奏曲が異様に好きである。 変奏曲というのは、主題があって、それを様々にアレンジしながら繰り返していく曲だ。まずクラシック音楽の文脈でしか出てこない用語だけれど、現代の楽曲でもたとえばレッド・ツェッペリンのStairway to Heavenなどはだいぶ…

死神とバースデイ

小説家がBUMP OF CHICKENを紹介するのはとても勇気がいる。 まずもってして藤原基央はほとんど小説家である。『ラフメイカー』『ダンデライオン』など、そのまま掌編小説として見ても見事なものだ。小説家のくせにオリコン1位をシングルでもアルバムでも獲り…

夢見る頃を過ぎても

正月に帰省したときに、父が一枚のCDを持ってきて言った。 「ヒカル、おいヒカル。最近ちょっといいバンドを見つけたんだ」 「なに?」 「オアシスって知ってるか?」 ……オアシス今さら見つけたのかよ? ナイツの漫才の入りみたいな話だが、実話である。 * …

グールドのビート

三度同じ話で申し訳ないが、僕がいちばん好きなクラシックの作曲家がベートーヴェンだというとやはりみんな驚く。もちろん「えっ、小説で書いてることそのまんまだったの?」という驚きである。 僕の両親はそろってクラシックが好きだったが、ベートーヴェン…

今日みたく雨なら

『美味しんぼ』でよく使われる話のパターンに、「大昔の曖昧な記憶を料理の味で喚び起こす」というものがある。山岡士郎はきまってしたり顔で言う。味覚や嗅覚といった「鋭くない感覚」は、記憶と密接に結びついていることがある……。 この蘊蓄がほんとうかど…

オペラ座の夜

以前、ある音楽好きの声優さんと飲んだときに、「ビートルズをはじめて聴く子供にどのアルバムから勧めるべきか?」という話題になった。 僕は、昔ちょろっとネット上で読んだ記事を思い出してこう答えた。 「PAST MASTERSのvol.2じゃないですかね」 理由は…