音楽は稼いだ!!

音楽エッセイ

2013-06-01から1ヶ月間の記事一覧

火星まであと30秒

メタラーとSF好きは似ている。 こんなことを書くと(両方から)怒られそうだが、似ているのだからしょうがない。共通点は以下の通りだ。 1) 自分がメタラー(SF好き)だと公言したがる。 2) 作品をまず「メタル(SF)かどうか」で判断する。 3) 他人に自分の…

こもりクインテット!

今年最も熱い漫画新連載、『こもりクインテット!』が月刊コミック電撃大王で始まった。普通、アフィリエイトといえど自作をほめたたえるのはなかなか照れくさくてできないのだが、『こもりクインテット!』は七割方Tivさんの作品である。僕はせりふとト書き…

もう半分のフジファブリック

作家同士で集まってお遊びでバンドをやろうとなったとき、最初の課題曲に選ばれたのは無謀にもフジファブリックの『桜の季節』だった。ベーシストの鈴木大輔のチョイスである。キーボードが活躍する曲がよかろうという配慮だったのだろう。 そんなわけで僕と…

彼女のバリエーション

僕は変奏曲が異様に好きである。 変奏曲というのは、主題があって、それを様々にアレンジしながら繰り返していく曲だ。まずクラシック音楽の文脈でしか出てこない用語だけれど、現代の楽曲でもたとえばレッド・ツェッペリンのStairway to Heavenなどはだいぶ…

死神とバースデイ

小説家がBUMP OF CHICKENを紹介するのはとても勇気がいる。 まずもってして藤原基央はほとんど小説家である。『ラフメイカー』『ダンデライオン』など、そのまま掌編小説として見ても見事なものだ。小説家のくせにオリコン1位をシングルでもアルバムでも獲り…

夢見る頃を過ぎても

正月に帰省したときに、父が一枚のCDを持ってきて言った。 「ヒカル、おいヒカル。最近ちょっといいバンドを見つけたんだ」 「なに?」 「オアシスって知ってるか?」 ……オアシス今さら見つけたのかよ? ナイツの漫才の入りみたいな話だが、実話である。 * …

グールドのビート

三度同じ話で申し訳ないが、僕がいちばん好きなクラシックの作曲家がベートーヴェンだというとやはりみんな驚く。もちろん「えっ、小説で書いてることそのまんまだったの?」という驚きである。 僕の両親はそろってクラシックが好きだったが、ベートーヴェン…

今日みたく雨なら

『美味しんぼ』でよく使われる話のパターンに、「大昔の曖昧な記憶を料理の味で喚び起こす」というものがある。山岡士郎はきまってしたり顔で言う。味覚や嗅覚といった「鋭くない感覚」は、記憶と密接に結びついていることがある……。 この蘊蓄がほんとうかど…

オペラ座の夜

以前、ある音楽好きの声優さんと飲んだときに、「ビートルズをはじめて聴く子供にどのアルバムから勧めるべきか?」という話題になった。 僕は、昔ちょろっとネット上で読んだ記事を思い出してこう答えた。 「PAST MASTERSのvol.2じゃないですかね」 理由は…